一人の医師が20年でエホバの証人を7000人手術する

「エホバの証人」と無輸血手術の記事を書いたあるアメリカ人の医者がいた。

記事を書かれた時は、ニューヨーク医科大学臨床外科教授を勤めておられた、広瀬輝夫先生である。

記事の内容の抜粋を書くと、日本では一昨年六月、交通事故にあい、大けがをした少年が、

「エホバの証人」の両親が病院で輸血を拒否したため、出血多量で死亡するという事件があったりして、エホバの証人の輸血をめぐって医療関係者の関心が高まったのは勿論、社会的な問題にもなったようだが、無輸血開心術(心臓手術)をはじめ、無輸血手術をてがけてきた私自身の経験を紹介してみたい。私は過去約20年間にエホバの証人の手術を7000例以上も行ってきた。しかし、大手術だけとっても、死亡率は0.5%以下と、一般の人たちの手術による死亡率よりも低率である。

輸血しなかったのが原因で死亡したのは二例だけで、その一例は心臓手術の終了後に、もう一例は、大動脈瘤の術後破裂だった。他の死亡例はガン末期患者と心臓病末期患者だったが、手術中に死亡したケースは一例もない。

さて、最も問題になるのは、意思と医療機関の、これら「エホバの証人」の患者に対する対応や処置である。彼らは「クリスチャン・サイエンス」や「セブンスデイ・エバンジェリスト」たちと異なり、医療や手術は認めているので、輸血さえ行わなければ、いかなる手術でも承諾する。