感謝すべきことに、院長先生自ら、他の外科医と麻酔の部長先生とオペをして下さることになった。オペは真夜中の午前0時に始まった。私は控室で、ひたすら熱烈に祈りながら、
待っていた。思えば、朝の事故から13時間ほど経過していた。手術の時間が途方もなく長く
感じられた。手術の待合室を静寂が支配していた。娘も家でどんな思いだろう。長男とは電話が繋がらず、次男は事故の前日から、小学校の就学旅行中で留守だった。友人たちを除くと、家族は私一人だった。
11月7日午前3時ころ、呼び出しがあった。
「手術は成功しました。」「ありがとうございます。ありがとうございます。」
「ただ、開けたら、びっくりしましたよ。脾臓の破裂、胃の三分の一程度が切れ、腎大静脈
も15センチほどパンク状態でした。」
「手術後、残った血液は600ccくらいです。」
「予断はできません。あとは、本人の宗教と、本人の頑張りですね。」と鹿児島弁丸出しで、いつものように、温厚に話してくださった。
先生方は、腸が切れて大出血したと、当初考えられていたようである。もし最初から脾臓が破裂していることが、わかっていたら、手術をしてくださったのだろうか?と。しばらく時が経過したときに思った。
しかし、深夜にもかかわらず、最善の処置をしてくださった医療チームには感謝しても
しきれないと思った。手術後のヘモグロビン値は2.4まで下がった。