無輸血手術その6(血圧64-40)

看護師の姉妹たちが水銀の血圧計を持ってきてくださった。

測ってみると、64-40位という。何度測っても同じだった。

私はしろうとであるが、事態が深刻であることを悟った。

すぐ、厚地脳神経外科に電話したが、「当直が専門外」とのことだった。

それで、かかりつけの病院に「受け入れてもらえますか?」と電話した。

この病院には、子供も具合が悪いとき、また妻も肝炎の時は入院してお世話になっており、医療機関連絡委員の時も会見に応じてくださり、協力医にもなってくださっていた。

受付の係りの人から、「院長もOKです。しかし、急患の受け入れもあるので、2分以内に

返事をしてください。」とのことだった。

それで、妻に聞くが、「もう、動きたくない」と言った。

その旨を病院に述べ、「往診を頼めますか?」「往診でできることは限られている」と断られた。救急病院でもあるので、往診は難しいのであろうと思った。

断られて、しばらく沈黙が重くたれこめていた。言葉にならない祈りとともに。

すると、看護師の一人の姉妹が、「鬼丸先生なら来て下さるかも。」

姉妹は、郡山町の保健師もされており、院長先生とも親しいようであった。

鬼丸先生が往診に来てくださり、「普通は病院で点滴しながら様子を見るのですが」

と言われた。そのころまでに、かつての仲間の医療機関連絡委員の兄弟に、受け入れ先を

探してもらうように、お願いしていた。