「救急車を呼んでいるなら行き違うぞ」「何を私はしてるんだ。」
妻が来てほしいと言ったものだから、そちらに向かおうと直線的に考えてしまっていた。理性が十分に機能していなかった。
冷静に考えることができるように、時間はいくらか進んでいた。
まず、救急隊員に、二人の立場と搬送先をお願いしなければ。。。。
とっさに110番にかけていた。(まだ動揺していた証拠)「はい、こちら110番です。
「どうされましたか?」「実は今連絡があり、私の妻と娘が交通事故にあったそうなんですが、救急車と連絡を取りたいのですが」「こちらは警察ですので、消防署に連絡してください。119番です。」「わかりました。」
119番に電話する。「今現場に急行中です。」
「あの。お願いがあるのですが。私の妻と娘はエホバの証人で良心上、輸血を受け入れません。それで、お願いですが、頭を強く打っている場合は厚地脳神経外科へ、そうでなければ
鹿児島大学医学部付属病院に搬送していただきたいのですが」
(私は事故の4年前まで、鹿児島の医療機関連絡委員:医師の先生方に、無輸血手術のお願いに伺う仕事をしていて、厚地脳神経外科の院長先生も協力を申し入れてくださっておられた。また、鹿児島大学の医学部付属病院も、麻酔科の教授、助教授、医師の先生方20数人が、約2時間近くの説明会に応じて下さり、最後は医学部長や教授の先生方5人が会見に応じて下さり、その約1か月後に、南日本新聞に「鹿児島大学医学部の倫理委員会はエホバの証人の無輸血手術を受け入れる」と表明してくださっていた。とても感謝でいっぱいだったことを鮮明に記憶している。なおこの医療機関連絡委員の取り決めは日本では2022年の現在まで約33年、アメリカでは40数年活動してきており、最新の世界の無輸血手術の文献も協力してくださっている先生方には提供させていただいている。)
「了解いたしました。搬送先が決まりましたら、電話します。」
数分が経過して、「厚地脳神経外科病院に搬送します。」
「ありがとうございます。私もそちらに行きます。」